2024.06.03

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【医師監修】手足は冷たいのに上半身は暑い?「冷えのぼせ」を感じた時の対策をご紹介

「手足は冷たいのに、上半身や顔は熱っぽさやほてりを感じる」
そんなお悩みをお持ちではありませんか?このような症状は通称「冷えのぼせ」と呼ばれています。冷え性に悩む方は多いですが、このような冷えのぼせを感じている方も増えているようです。そこで今回は、冷えのぼせの特徴や冷え性との違い・原因・予防対策についてご紹介します。

■ 冷えのぼせの症状とは?

冷えのぼせの症状とは?

・冷えのぼせの特徴とは

冷えのぼせとは、手足は冷えているのに上半身や顔は熱くなってしまう状態を指します。以下のような症状が起こります。

・上半身は冷えていないのに、下半身や手足だけに冷えを感じる
・手足は冷たいのに、頭だけが暑くなりボーッとする
・暑い日にも寒いと感じる(気温は暑いのに、カイロを持ち歩くこともある)
・暖房がきいた場所に行くと、胸より上がカーッと熱くなり、汗が大量に出る
・冷たいものを食べたり飲んだりすると、トイレが近くなる
・手のひらや足の裏に汗をかきやすい

・一般的な冷え性との違いは?

一般的な冷え性と冷えのぼせは、全く違うものというわけではありません。
冷え性にはいくつかの段階があり、悪化すると冷えのぼせに発展すると考えてください。詳しいメカニズムについては後ほど解説します。

・更年期との違いは?

閉経前後の50代前後の女性に起こる更年期障害の症状の1つ「ホットフラッシュ」でも、急に顔が熱くなったり汗が止まらなくなったりするなど、冷えのぼせと同じような症状が出ることがあります。
ホットフラッシュと冷えのぼせの違いは、冷えのぼせは年齢や性別問わず誰にでも起こるという点です。しかし、更年期の症状であるホットフラッシュも、冷えのぼせと同じく自律神経のバランスが乱れることが原因です(後ほど詳しくご説明します)。
更年期か冷えのぼせかどちらか判断がつきづらい場合は、女性であれば婦人科を、男性であれば内科を受診しましょう。

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・季節の変わり目に注意

冷えのぼせは、季節の変わり目に起きやすくなるとされています。季節の変わり目は体調を崩しやすくなったり、自律神経の乱れが起きやすくなったりするからです。

■ 冷えのぼせの原因とメカニズム

冷えのぼせの原因とメカニズム

前項で説明したように、冷えのぼせは「冷え性が悪化した状態」と言えます。
次に、冷えのぼせの原因とメカニズムについて説明します。

・冷えのぼせを招く原因

・自律神経のバランスが乱れている

ストレスや生活習慣の乱れなどによって自律神経のバランスが崩れていると、体温調節機能が正常にできなくなったり、血管の収縮・拡張のコントロール機能がうまく働かなくなったりします。すると、体が冷えやすくなったり上半身に熱が集中しやすくなったりします。

・体の中で熱をうまく作れなくなっている

ダイエットなどで食事量が少なかったり、運動不足などで筋肉量が少なかったりすると、体の中で熱を十分に作れなくなります。それが冷え性を招き、冷えのぼせに発展することがあります。

・冷えのぼせのメカニズム

・体が冷えると、全身の血液循環が悪くなり、血行不良が起こります。

この状態が続くと、代謝がうまくいかなくなったり、リンパや静脈の流れが滞って体の末端(手足など)がむくんだりするようになります。

さらに、この状態が続くと、体温を一定に保つ機能(恒温機能)が働き、自立神経の指令によって生命維持に最も重要な頭部の体温を上げようとします。

その結果、頭部や上半身は熱いのに手足は冷たいという、冷えのぼせの状態が起こります。

■ 冷えのぼせの対処法

冷えのぼせの対処法

冷えのぼせの症状を感じたときは、以下のような対策をしてみてください。

・ほてりを冷やす「一時ケア」を

緊急的に、ほてりを冷やす「一時ケア」としては、熱やほてりを感じる上半身や顔・頭部は、冷たい風にさらしたり、水で絞った冷たいタオルを当てたりするなどして熱を逃すようにしましょう。ただし、体全体を冷やすのはNGです。

・冷えのぼせの「日常的な対策」

① 衣類は重ね着で調整できる服装に

上半身は重ね着をして、寒暖に対応できる服装にしましょう。インナーやカーディガンなどの羽織ものを活用するのがおすすめです。また、首の詰まった服は、暑さを感じやすいばかりか、のぼせたときに汗が逃げにくく、逆に体を冷やしてしまうので、避けたほうが良いでしょう。

【春夏(暑い季節)向き】

・汗冷えを防ぐために、吸汗速乾性の高いインナーがおすすめ

かいた汗がそのままジトッとしていると不快なばかりか、汗が冷たくなって体を冷やしてしまいます。汗をよく吸収し、速乾性の高いインナーや肌着を着用しましょう。

▶吸汗速乾インナーの一覧はこちら

・脇汗対策に汗取りパッド付インナーがおすすめ

冷えのぼせが起きると、上半身に汗をかきやすくなるので、脇の汗ジミが気になりますよね。そんなときは、汗取りパッド付のインナーを着ておくと安心です。

▶吸汗速乾、汗取りパッド付インナーの一覧はこちら

【秋冬(寒い季節)向き】

インナーは吸水性が高く、保温性にも優れている綿素材がおすすめ

暖房が効いた室内は汗をかきやすいので、薄くて温かい吸湿発熱機能のあるヒートインナーではなく、吸水性の高い綿インナーがおすすめです。綿は、保温性にも優れており、外気は寒く、室内は暖かい冬でも、温度調節してくれるのです。

▶綿素材インナーの一覧はこちら

①衣類は重ね着で調整できる服装に

② 下半身はしっかり保温

冷えやすい下半身は、しっかり保温をするようにしましょう。夏場も冷房で冷えることが多いので、下半身の冷え対策はしっかりするようにしてください。

・パンツやスカートの下にはインナーパンツを穿くのがおすすめ

パンツやスカートを一枚で穿くのではなく、内臓まわりを冷やさないように下にインナーパンツを穿くと良いでしょう。

▶インナーパンツの一覧はこちら

・冷えやすいお腹周りは腹巻で保温

冷えのぼせがある方は、お腹周りも冷えやすくなっています。腹巻をしてお腹を保温するのがおすすめです。

▶腹巻の一覧はこちらから

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▶はじめよう温活!腹巻の選び方

・靴下やタイツでしっかり保温

冷えやすい足元は靴下やタイツ、レッグウォーマーでしっかり保温を。足元を温めることで冷えのぼせの予防対策につながります。

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足元の冷えについてお悩みの方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
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・靴下やタイツでしっかり保温

③ ストレスをためない

ストレスがたまると交感神経が優位になり、自律神経のバランスが崩れやすくなってしまいます。自律神経の乱れは冷えのぼせや冷え性の原因となるだけでなく、さまざまな体調不良・メンタル不調を招くので、日頃からストレスケアを大切にしましょう。ゆっくりお風呂に浸かる・好きな音楽を聴く・読書や映画鑑賞をするなど、ご自身がリラックスできる方法を見つけておきましょう。

④ 睡眠をしっかりとる

睡眠中は自律神経のうち休息を司る副交感神経が優位になって、体も心もリラックス状態になります。自律神経のバランスを整えるために、睡眠はしっかりとるようにしましょう。

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⑤ 起床時に太陽光を浴びる

起床時に太陽の光を浴びることで、休息モードの副交感神経から活動モードの交感神経にスイッチが切り替わりやすくなります。朝起きたらカーテンを開けて、大きく深呼吸をしたり軽いストレッチをしたりなど、体を目覚めさせるのがおすすめです。また、太陽の光が出ている朝の時間に起きることも大切なので、早寝早起きを心がけましょう。

⑥ 日常的に軽い運動をする(軽い筋トレがお勧め)

運動不足も自律神経の乱れにつながります。また、筋肉が凝り固まっていると体の血行が悪化するので、冷えを招きやすくなります。日常的に軽い筋トレなどを取り入れて、体を積極的に動かすようにしましょう。

⑦ 栄養バランスの良い食事をしっかりとる

体の中で活動に必要なエネルギーを作り出せるようにするには、栄養バランスの取れた食事を十分量取ることが大切です。1日3食しっかり栄養のある食事をするように心がけましょう。特にダイエット中の方はエネルギー量が不十分になりやすいので注意してくださいね。

⑧ 入浴で体を温める

ゆったりお風呂に浸かるのも冷え改善には有効です。お風呂の温度は38〜40度くらいにしましょう。もし温かめのお風呂にゆったりと浸かりたい場合は、半身浴がおすすめです。長時間の入浴をしない場合は、全身浴がいいでしょう。半身浴にしても全身浴にしてものぼせを感じる前に上がるようにしてください。

⑨ 首の後ろを温める

首には大きな血管が通っているため、ここを温めると効率的に血液が温まり、血液を全身に巡らせることができます。また、首の後ろを温めると副交感神経が優位になるため、自律神経のバランスを整えるのにも役立ちます。入浴時にシャワーを当てるなどしてもいいですね。

まとめ

女性に起こりやすい冷え性や冷えのぼせですが、「いつも手足が冷たい」「上半身や顔・頭に熱がこもってぼーっとしてしまう」といった症状があると、QOLも低下しやすくなってしまいますよね。

心当たりがある方は、ぜひ、今回ご紹介した、ほてりを冷やす「一時ケア」と冷えを改善するための「日常ケア」を取り入れましょう。特に、日常ケアに関しては毎日の積み重ねが大事です。体を冷やさないようインナーや靴下・腹巻などで対処する・ストレスを溜めないようにする・規則正しい生活を心がけるなど、ぜひ今日から取り組んでみてくださいね。

なお、冷えのぼせの症状がひどく、仕事や生活に支障が出ているような場合は、一度病院を受診して検査や診察を受けることをおすすめします。

【この記事の監修医】

さいとう内科・循環器クリニック院長 齋藤幹

さいとう内科・循環器クリニック院長 齋藤幹
北海道大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院、公立昭和病院などを経て、「さいとう内科・循環器クリニック」を開業。医学博士、内科認定医、総合内科専門医、循環器専門医・指導医、臨床研修指導医。

   
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