2024.02.26

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【医師監修】男性の妊活にパンツは関係ある?下着選びで意識したいこと

妊活に取り組んでいる、あるいはこれから妊活をはじめる女性の中には、パートナーである男性の妊活や不妊について疑問を抱く方が少なくありません。

実は、男性の妊活において「睾丸周辺を温め過ぎないことが重要である」と、とある研究結果によって明らかにされています。

そこでこの記事では、男性の妊活と下着の関係性を解説します。また、男性の妊活に適切なパンツ選びのポイントについてもまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。

   

男性にも知って欲しい!妊活において大切なこと

男性にも知って欲しい!妊活において大切なこと

妊活とは、妊娠を望む男女が妊娠に向けて行うさまざまな活動のことです。男女のどちらかが頑張るのではなく、男女二人で取り組む必要があります。

また、お互いが協力して妊活に取り組むためには、女性だけでなく男性も妊娠に関する知識を得ることが重要です。

情報収集をしながら妊娠についての知識を深め、共有していくことが大切といえます。そのうえで、お互いの意見をすり合わせながら、妊活に関する方向性を決めていきましょう。

妊活は女性だけでなく男性の協力も必要不可欠

女性が妊娠・出産できる年齢には制限があるため、不妊治療は時間との勝負です。

また、不妊の原因は、女性だけにあるわけではありません。WHO(世界保健機関)によると、不妊の約半数は男性に原因があるとされています。

しかし、「不妊は女性の病気」と考えてしまう男性が多く、男性不妊についてはあまり知られていません。

医療機関で不妊症の相談をするカップルが増えているものの、男性の受診率は低いのが現実です。

不妊治療の成功率は、年齢を重ねるほど下がってしまうため、少しでも早く受診し、治療をはじめることが必要です。

他にも、生活習慣の見直しや、後述する下着選びに気を配ることも、男性ができる妊活の一つといえます。

   

男性の妊活は睾丸周辺の温度をなるべく上げないことが良いとされている

男性の妊活は睾丸周辺の温度をなるべく上げないことが良いとされている

精子は、温度と密接な関係にあります。

米ハーバード大学の研究によると、睾丸の温度を上げないように取り組むことで、精子の質を向上できることが明らかとなりました。

ここからは、睾丸周辺の温度とパンツの因果関係をみていきましょう。

米ハーバード大学公衆衛生大学院で行われた精液検査

米ハーバード大学公衆衛生大学院の研究グループが、マサチューセッツ総合病院で不妊治療を受ける男性656人に対し精液検査を行い、パンツと精巣機能との関連性について調査しました。

その結果、ゆったりとしたパンツを着用している男性のほうが(以下トランクス派)、ぴったりとフィットするパンツを着用している男性よりも(以下非トランクス派)、精液濃度が25%高いことが分かりました。

一方、精子の発育を促す「卵胞刺激ホルモン(FSH)」の血中濃度については、トランクス派のほうが、非トランクス派よりも14%低い結果となっています。

この結果に対し研究者は、「非トランクス派は、精子数の低下を代償しようと卵胞刺激ホルモンの分泌が増加したのでは」と考察しています。

精液検査から分かる精子と温度の関係性

一般的な男性の精巣内温度は、体温より2~6度ほど低く保たれています。なぜなら、低温度を保つことで精子を形成する能力が高まるからです。

精子の産生には、一般的に31~33度が適温とされており、35度を超えると精子形成に支障をきたすほど温度にデリケートな性質を持っています。

詳しいメカニズムは明らかにされていませんが、精巣が高温になると精細胞の増殖・分化が抑制され、精子をつくる働きも低下すると考えられています。

そのため、ぴったりとフィットするパンツは、睾丸を覆っている陰嚢(いんのう)が体に密着して体温で温められることから、精子をつくる働きが低下してしまうリスクがあります。

反対に、ゆったりとしたパンツは、陰嚢が体温による影響を受けにくいため、精巣内温度が適温に保たれやすいといえるでしょう。

精液検査から分かるパンツと卵胞刺激ホルモン(FSH)の関係性

卵胞刺激ホルモン(FSH)とは、造精を精巣に促す際に脳の下垂体から分泌されるホルモンのことです。

ゆったりとしたパンツを着用していると、精巣内が適温に保たれることから精液濃度が高く、造精を精巣に促す必要がありません。そのため、フィットするパンツを着用するよりも、卵胞刺激ホルモンの数値が低くなる傾向にあります。

一方、ぴったりとフィットするパンツを着用すると、精巣内温度が高くなり精子をつくる働きが低下するため、それを補おうと卵胞刺激ホルモンの分泌量が多くなる可能性があります。

しかし、卵胞刺激ホルモンの数値が高過ぎると、精巣で精子がうまく形成されないおそれがあり、過剰な分泌は好ましくありません。

したがって、ゆったりとしたパンツは、卵胞刺激ホルモン(FSH)の観点からも妊活に向いているといえます。

   

男性が日常生活で気を付けたいこと

男性が日常生活で気を付けたいこと

男性の妊活において、日常生活で気を配りたいのが以下の3つです。

  • ・食事
  • ・生活習慣
  • ・睾丸を温めない

食事はパンやごはん、麺類などの炭水化物だけでなく、肉類や乳製品などのタンパク質と、野菜や果物などのビタミン・ミネラル類もバランス良く摂るように心がけましょう。

また、生活習慣で注意したいのは喫煙と飲酒です。喫煙やアルコールの過剰摂取は、精子数の減少や形成に悪影響を与えるおそれがあります。

さらに、睾丸を温めないことも重要です。睾丸を温め過ぎると、精子をつくる働きが低下してしまいます。

   
   

睾丸周辺を温め過ぎないために注意したいこと

睾丸周辺を温め過ぎないために注意したいこと

睾丸周辺を温め過ぎないために注意したいこととして、以下の3つがあります。

  • ・長時間の入浴やサウナを避ける
  • ・膝の上にパソコンを乗せて作業しない
  • ・窮屈なパンツを避ける

長時間入浴すると、体温の上昇とともに睾丸の温度も上がります。湯船の温度は上げ過ぎず、30分を超えないように入浴しましょう。サウナも同様の理由により、長時間入ることはなるべく避けたほうが良いです。

また、膝上でのパソコン作業は、パソコンが発する熱によって睾丸周辺の温度を上げてしまうため、できる限り机の上に置いて作業するようにしてください。

なお、体にぴったりとフィットするパンツは動きやすい半面、睾丸にとっては窮屈になりがちです。体に密着することで体温が上がり、睾丸周辺の温度が上昇するため、無意識のうちに睾丸を温め過ぎてしまいます。

   

締め付けが少なく通気性の良い下着とは

睾丸周辺を温め過ぎないために重視したいパンツ選びのポイントは、以下の2つです。

  • ・男性器が体に密着していないか
  • ・通気性が良いか

これら2つの条件をクリアするパンツとして、トランクスがあります。

トランクスは、生地と体の間に空間があるため、男性器がほど良く解放されるうえ、通気性にも優れています。ボクサーパンツやブリーフパンツと比較しても風通しが良く、蒸れにくい点が特徴です。

また、トランクスは、締め付けが少ないため睾丸の血流を圧迫することもありません。

ただし、ボトムスによってはパンツのラインが出やすいデメリットもあるため、ファッションやシーンに応じて取り入れましょう。

こちらのニットトランクスは、ヒップからウエストまでをソフトに包み込む設計で、フィット感を備えながらも、締め付けや圧迫感を軽減しています。

吸汗・速乾性が高く、暑い時期でも着用しやすい他、繰り返し洗っても持続する消臭機能も特徴の一つです。

   

こちらのトランクスは、ヒップ周りにゆとりのある設計と柔らかい穿きごこちが特徴です。

太もも回りの裾が広いため、通気性に優れているだけでなく、柔らかい風合いと肌触りの良さもポイントとなっています。

▶トランクス一覧
トランクス

   

男性の妊活は睾丸周辺を温め過ぎないことが大切

繰り返しになりますが、男性の妊活は食事や生活習慣の改善に加え、睾丸周辺を温め過ぎないことが大切です。

長時間の入浴やサウナ、膝の上でのパソコン作業など、日常的に行っている行動が、実は妊娠を遠ざけてしまっているおそれもあります。

しかしながら、これらの行動を控えることがストレスになってしまっては、元も子もありません。そのため、まずはできることから少しずつ取り組んでみてください。

【この記事の監修者】
袴田康宏 袴田康宏
聖隷浜松病院泌尿器科医長
2012年名古屋市立大学医学部卒業。2014年より聖隷浜松病院に勤務。
日本泌尿器科学会専門医
日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医
身体障害者福祉法第15条指定医
※この記事は、正しい情報発信を行うために、医師に監修を依頼しております。商品について医師が推薦を行うものではありません
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