日本人の眠りを改善しよう、眠りと体温リズム調整法
「人生の1/3は睡眠時間」といわれるほど、人間は睡眠を必要とする生き物です。
にもかかわらず、わたしたちは睡眠の大切さを軽視してしまいがち。慢性的に睡眠時間が足りていなかったり、眠りが浅かったり、夜中に何度も目覚めたりしていても、積極的な改善策を講じようとする人は少ないのではないでしょうか。しかしそのままでは、体にさまざまな不調をきたす恐れがあります。
そこで今回は、心と体を健やかに保つため睡眠をとるための対策についてご紹介します。この機会にぜひご自身の睡眠を見直してみてください。
日本人の睡眠時間の短さは世界トップクラス!?
理想的な睡眠時間は、諸説ありますが、おおむね1日8時間程度といわれています。しかし、OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本人は男女ともに睡眠時間が少ないというデータがあります。
上図によると、日本人男性の平均睡眠時間は7.6時間、日本人女性は7.55時間。欧州各国に比べて最も短いことがわかります。男女ともに最も睡眠時間が長いフランス人よりも、日本人男性は32分・日本人女性は65分も少ないのです。
睡眠が体に必要な理由は?
睡眠は、一日の脳と身体の疲れをとり、心身の機能を回復させるために不可欠なものです。よい眠りが得られれば疲れがすっきりとれ、免疫機能も向上しやすなります。また、お肌のターンオーバーも促されるため、ぐっすり眠った翌朝は肌のコンディションも良好に。しっかりと睡眠をとることで、身体の機能にもお肌にも、そして心にも、良い結果が期待できます。
しかし前項でご紹介したように、日本人は睡眠時間が短すぎる傾向が見られます。それではいつ心身の不調をきたしても不思議ではありません。
大事なのは、睡眠時間を十分に確保すること。そして、もうひとつは睡眠の質をアップさせることです。
では睡眠の質を高めるにはどうしたらいいのでしょうか?
良質な睡眠のカギは、体温リズム・脳の覚醒と休息のリズムを調整すること
睡眠の質を高めるためのポイントは、体温リズムと脳の覚醒と休息のリズムを整えることにあります。
以下は、1日の体温の理想的な変動、脳の覚醒と休息リズムの理想的な状態を説明しています。
①目覚め
夜明けが近づくにつれ体温が上がり始め、覚醒度が一気に上昇します。
②日中
体温は高い状態を維持していますが、午後を少しまわった頃、軽い眠気がでます。しかし、しばらくすると再び覚醒度が上がり、活動的になります。
③夕方
体温が最も高くなります。覚醒度も運動能力も高く、エクササイズをするのに最適です。眠気はほとんどない状態です。
④入眠~睡眠中
就寝1時間前くらいから体温も覚醒度も少しずつ下がり、入眠タイムが近づくとどちらもとストンと下がります。入眠後はすぐに深い眠り(ノンレム睡眠)に入り、その後は、深い眠りと浅い眠り(レム睡眠)が規則的に現れます。体温は明け方に最も低くなり、目覚めが近づくにつれて高くなり、眠りもだんだん浅くなります。
良質な睡眠を得るためには、このようなサイクルに体のリズムを調整することが大切です。
体温リズムを調整するにはどうしたらいい?
1日のなかで体温は上昇と下降を繰り返しています。この体温変動のリズムを整えるのも、良質な睡眠を得るためのカギとなります。 そのためには、以下の項目を意識してみましょう。
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- ・規則正しい生活をし、起きたら太陽の光を浴びましょう。
- ・温かい朝食を食べましょう。
- ・日中は活動的に過ごしましょう。
- ・週に3日程度(できれば夕方以降)運動すると良いです。
※有酸素運動を30分程度。 - ・身体は冷やさないように気を付けましょう。
※特にお腹。 - ・喫煙・飲酒は最小限にしてください。
※タバコは末端の血流を悪くし、お酒は熱を作りだす肝臓に負担を与えます。 - ・シャワーではなく、お風呂で温まりましょう。
※病気や妊娠中の人は医師に相談を。 - ・腹式呼吸で深呼吸をしましょう。
- ・エアコンを使いすぎないようにしましょう。
※体温調整機能を低下させてしまうことがあります。
ぜひこれらの点に留意して生活を送ってみてください。体温リズムは一朝一夕で調整できるものではありませんが、続けることで少しずつ変化が見られるはずです。
脳の覚醒と休息のリズムを整えるにはどうしたらいい?
ヒトの体には、「概日リズム」と呼ばれる約24時間±4時間で1周する生体リズムが備わっていて、このリズムによって覚醒と睡眠のサイクルはつくられています(※1)。この概日リズムは、光の刺激に大きく左右されると考えられています。光を浴びることによって脳は覚醒モードに、暗くなることによって休息モードに入りやすくなるのです。前述した一日の体温との変動と脳の覚醒・休息リズムからもわかるように、朝日が昇るとともに脳も覚醒しはじめ、日が沈んで夜になると徐々に休息モードに入っていっていることがわかるかと思います。
※1 実際の計測値のほとんどは20時間から28時間に収まるものの、この範囲を逸脱する場合もあるとされています。
このことから、脳の覚醒と休息のリズムを整えるには、以下の点を意識しましょう。
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- 早寝早起きを心がける。
- 夜になったら部屋は暗めに。明るい光を浴びすぎない。
- 寝る直前にスマホやPCなど強い光を発するものを見ない。
- 目覚めたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる。
このように、意識的に体温リズムと脳の覚醒と休息のリズムを調整することで、睡眠の質は向上しやすくなります。睡眠の質が上がれば体の回復機能も促されるため、慢性的な疲れやだるさ・肌荒れなどのトラブル改善にもつながるのではないでしょうか。
睡眠は、誰しも毎日必ずとるものです。ぜひ今日から睡眠に対する意識を変えて、もっと睡眠を大切にしてみてくださいね。
監修:グンゼ株式会社 睡眠改善インストラクター 岡田淳一
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