移ろう季節を着る 移ろう季節を着る

 洋服でも和服でも、衣服を着ることは季節を着ることです。季節とともに生きてきた日本人にとって、四季折々の装いは、“食”と同じように文化のDNAといえるものです。
 衣服と季節の関係を表す日本らしい言葉に、合服(あいふく)というのがあります。冬と夏、夏と冬の間の季節に着る衣服のことです。はっきりした四季の生活慣習を背景にした日本らしい衣服文化といえます。
 合服の基本は、「厚過ぎず薄過ぎず、程よい着心地」です。外気や気温に合わせて調節しやすく、そして、脱ぎ着が容易で重ね着しやすいということになります。
 現代では、合服を着用する期間が長くなっています。外でも家でも冷暖房が広く普及していることもありますが、耐寒機能に優れファッション性も高いコートやジャケットが豊富な今は、中に着るものは軽くて嵩張らないものが好まれます。今日的な合服は、外と内の温度の変化に合わせるだけでなく、好みのお洒落や、一日の活動に合わせるという側面もあります。寒暖の調節だけでなく、スタイルやアクティビティーの調節もまた合服の目的になっているのです。

 この合服という日本的な衣服文化は、その行為においても、極めて日本的な精神性を象徴しています。合服は、別のいい方で、合着(あいぎ)、間着(あいぎ)ともいわれます。この合服、合着、間着という言葉の、それぞれの頭の“合と間”がそれを表しています。
 合(あい)は、「様子や具合や、それを婉曲に表す」ときに用いて、間(ま、あいだ)は、「物や事や人などの、それぞれの関係や状態や空間を表す」ときに用います。例えば、合は、「色合い、肌合い」。間は、「隙間、間を読む」などです。
 このようにいい表される事柄を考えると、私たち日本人の生活の根底には、「物や事や人」の間や周りの、様子や状態に細やかに反応していることが窺えます。つまり、季節の移ろいに繊細なように、自分を取り巻く環境や雰囲気の変化に敏感なのです。
 花を贈るとき、西洋では「満開の花」を、日本では「七分咲の花」を贈ります。それは、ちょうど満開に咲き切った花を愛でる美意識と、七分咲から満開までの移ろう花を愛でる美意識の違いです。つまり、完成した美しさを見る眼差しと、変化する美しさを見る眼差しの違いといえます。
 日本人の「移ろう、変化する」ものへの眼差しこそ、季節がはっきりと目に見えて変わる四季によって養われた感性です。私たちは、この感性によって、日々の生活の移ろいや変化に敏感に呼応しているのです。このような精神性が表れたのが、“合や間”という言葉であり、衣服の生活慣習として残っている合服なのです。日本の文化が、よく“間”の文化ともいわれるのも、そうした「変化に対する眼差し」を表しているといえます。

 合服のような「変化に対する調節」ということでは、肌着もまたそれが重要な要素になります。〈SEEK〉では、“オールシーズン素材”を使用したカットオフ®のTシャツとボクサーブリーフが、それに当たります。
 “オールシーズン素材”とは、天然のコットンと、コットンから生まれた再生繊維を主な原材料としたオリジナルの素材です。その特徴は、なめらかな肌触りと、すばやい吸湿発散による蒸れにくさにあります。また、ソフトな伸縮性があり、体の動きにしなやかにフィットします。まさに体温や湿気の変化と体の動きに合わせて、着心地を調節する「基本肌着」です。
 〈SEEK〉もまた日本の衣服文化のDNAが感じられる肌着であり、まさにメイド・イン・ジャパンの肌着だといえます。

PROFILEPROFILE

  • 遠矢 了 遠矢 了

    コンセプター、コピーライター、雑誌編集などを経て、海外ブランドの市場施策や百貨店の商品施策などの企画立案やコンセプト開発を手掛ける。
    その後、平成5年に株式会社ピタゴラスを設立。車や男性用化粧品、家電、日用品などの、コンセプト立案やプロダクトプランニングを行う。
    現在は、主にコンセプトワークや独自のトレンド分析予測を行う傍ら、企業の企画開発業務の担当者向けに《感性開拓講座》を、また、デザイナー、クリエーター向けの勉強会《108塾》を主宰。これからの時代を担うプランナーやクリエーター達に、自らの体験を通して培った“思考や感性の知識・技術”を、「ものの捉え方〜ことの読み方〜想いの作り方」として伝えている。